こんばんは。Yudaiです。
今回は大手セレクトショップと都内の古着屋で2足のわらじを履く、ファッション、アパレル業界8年目の古着屋店員の僕が、古着屋で働きたい人へ全ての真実をお話しします。
僕は、都内の古着屋で働き始めて6年経ちます。4年目から店長を任せて貰い、店頭での販売や、在庫管理、EC(通販)業務、バイイング(買い付け)業務等の店舗運営に関わる仕事をしています。
そんな僕が、古着屋で働く為にはどうしたらいいか、古着屋で求められるスキル、業務内容などをお話ししたいと思います。
そもそも古着屋とは
そもそも古着屋とは一体なんなのかについてからお話ししたいと思います。
いちいちそんなこと説明しなくても分かるわ!って言う人も多いと思いますが、僕がこの業界にいる上で意外と理解してない人も多くの見受けられるので説明したいと思います。
古着屋とは、海外に古着(商品)を買い付けに行き、日本のお店で売ります。主にはアメリカ(中でもだいたい西側)に買い付けに行くことが多いですが、古着屋によってはヨーロッパに行ったり、最近では東南アジアや中東に行ったりする事もあります。ポイントは商品の仕入れ先が海外であるという事です。
ここで古着屋と混同されがちなのは、リサイクルショップです。リサイクルショップは、お店でお客さんから未使用もしくは、使用済みの洋服を買い取って、その洋服を商品としてお店で売るというシステムです。主にはハイブランドやドメスティックブランドのユーズド商品(古着)を中心としたライナップとなっています。
このシステムを主として行なっているお店は古着屋とは言いません。古着という物を売ることは共通していますが、商品の仕入れの仕方が全く違います。例を挙げるとセカンドストリート、ジャンブルストア、モードオフ、ハードオフなどのお店はリサイクルショップと言います。
しかし、近年では古着屋がお客さんから古着を買い取ったり、お客さんから委託で古着を預かって売るというシステムも併用してを導入している事もあります。(あくまで主な仕入れは海外です)
僕が大学生の頃、就職活動をしていた時の話です。僕はアパレル企業を志望していました。(就職する気は一切なかったけど) 面接で一緒になった他の大学生と話をしていて、何のバイトをしているかという話になりました。僕は古着屋と答えると、その大学生も俺も古着屋で働いていると答えました。僕がどこの古着屋か?と聞いた時にセカンドストリートの名前が出てきて、コイツは業界研究不足で失格だなと確信した記憶があります。
話が逸れましたが、古着屋とリサイクルショップは本当に混同されがちです。インターネット上のWEBサイトでも間違った解釈で、古着屋で働きたい人の為用のページが、蓋を開けてみたらリサイクルショップの内容だったみたい事を本当にめちゃくちゃよく見かけますのでご注意下さい。
古着屋で働きたいと思っている人は、本当に古着屋なのか、リサイクルショップなのか、もう一度考えてみる事をお勧めします。
古着屋の選び方
古着屋で働くにあたって、古着屋選びが1番重要です。
主にはアメリカ古着を取り扱う古着屋が一般的ですが、一概に古着屋と言っても様々なジャンル(種類)、テイストの古着屋があります。
病院に例えて説明すると、病院の中でも内科、眼科、歯科、耳鼻科など何かに特化した病院がありますよね。
古着屋も同じように、ストリート系、ミリタリー系、ヨーロッパ系の古着など、様々なジャンルやテイストに特化した古着屋が存在します。
古着屋で働きたい!と思っている人は少なくとも洋服や古着やファッションが好きな人だと思います。自分がどのようなジャンル、テイストのファッションが好みかを考えて、自分の趣味と合う、共感できる古着屋選びをする事が大切です。
という理由は、自分が好きなジャンルやテイストのお店で働いていないと働いていて自分自身が楽しくないですし、お客さんに心から商品をお勧めする事もできないからです。
僕自身、現在古着屋と大手セレクトショップの2社で働く以前に様々なアパレル企業を経験しました。最初は何も考えずにアパレルで働きたい!と楽観的に考え自分の好きではないジャンルやテイストのお店や企業を適当に選んで働く経験もしましたが、ま!じ!で!つまらなくてすぐやめました。
せっかく古着やファッションが好きで働くのであれば、絶対に確実に好きなお店で働くべきです。自分が好きじゃない古着を売ることは古着屋で働く意味はありません。冒頭でも言いましたが、本当にこれが1番重要です。
古着屋の求人ってどうやって見つけるの!?
まず古着屋の求人は、ほぼマイナビやタウンワーク、バイトルなどの求人サイトには掲載されません。
じゃあどうすればいいのか!?
お店で店員さんに求人があるかを直接聞いてみたり、InstagramやTwitterなどのSNSで求人情報が出てないかチェックしたりするといいでしょう。
お店で店員さんに直接聞く場合は、自分がよく通っている、買い物をよくしている、店員さんとの関係も良好である場合が良いでしょう。そうでない場合は相手にしてもらえない事が多いです。
また、聞いてみて求人があった場合は、何か安い物でもいいので絶対に買い物をしてお店を出るようにしましょう。
買い物をしている=その古着屋が好き
です。
僕たち古着屋の立場からすると、自分たちの古着屋を好きだと思ってくれているやる気がある人を積極的に採用したいと思っています。
古着屋とは皆さんが思っている以上に体育会系で礼儀やマナーに厳しい世界です。やる気がある!は前提として、好きという熱量が伝わらないと門前払いされます。
あなたが好きだと思っている古着屋でも、買い物したことない、求人を聞きに来ただけで買い物をしないで帰るという心構えでは、まずそこの古着屋で働く事ができる可能性は低いと思った方がいいでしょう。
僕自身、古着屋でお店にいて、求人とかありませんか?働きたいと思ってて履歴書持ってきました!という場面を多く経験しました。働きたいと思って貰えることは非常に嬉しい事です。しかし、何も買い物せずに帰られる事がほとんどです。僕たちとしては、本当にウチが好きでやる気あるのかな?って思ってしまいます。
SNSではDMだけで面接までは繋がるかも知れませんが、結局面接でバレます。僕たち古着屋はお客さんの事を覚える事も仕事です。よく来てくれて買ってくれるお客さんはもちろん覚えてますし、よく来てても全く買わないお客さんも覚えています。
厳しい事を言いましたが、これは全て事実です。
ですが、裏を返すと働きたいと思っている古着屋によく通って、たくさん買い物して、店員さんと顔見知りの人は、タイミングが合えばそこの古着屋で働く事ができる可能性が高くなるという事です。事実、僕自身がそうでした。
また、あまり買い物をした事が無くても、働きたくて履歴書を持ってきたので是非目を通してください!と渡して買い物して帰ると、やる気を見せる事ができ、面接へと繋がるかもしれません。
1つ前の古着屋の選び方のトピックスでお話した自分が好きな古着屋を選ぶという事は、必然的に働ける可能性が高くなるという事にも繋がります。
古着屋で働く上で必要なスキル
古着屋で働く上で必要とされる主なスキルは
- 円滑なコミュニケーション能力
- 明るく元気がある事
- 最低限洋服、ファッションに対する知識
- 向上心
アパレル業界や古着屋に関わらず、サービス業として必要なスキルとほぼ変わりません。主に下の2つの項目は古着屋としては非常に重要になります。
古着屋の選び方でも言った通り、古着屋で働きたいという人は少なからず古着や洋服やファッションが好きな人だと思いますので、最低限の知識は持ち合わせていると思います。
しかし、これから古着屋で働くという事は、洋服のプロになっていくという事です。つまり、プロになるということは洋服やファッションに詳しくなっていかないといけないという事です。
古着屋に来るお客さんはコーディネートや古着の合わせ方もそうですが、年代、ブランドの歴史、洋服の背景など、洋服その物やそれに付随するカルチャーに興味がある人が非常に多いです。お客さんが知りたい質問に対して、常に120%の回答をしなければいけません。何度も言いますが、僕たち古着屋は洋服のプロだからです。
新品のセレクトショップやブランドの販売員のようにコーディネートの仕方、サイズ感、トレンド感などをお客さんに接客すればいいだけではありません。実際は僕自身セレクトショップでも働いていて、〇〇サイズありますか?色違いありますか?のようなリアクションに応じ、お客さんに商品を渡すだけで購入に繋がるケースもかなり多いですが、古着屋では基本的にあり得ません。
古着やファッションが好きであれば勉強や学ぶという感覚よりも、必然的に好きだから自ずと知りたくなって興味を持って調べまくるという状況になると思います。この感覚を持ち合わせていないと古着屋で働く事はあまり向いていないかもしれません。
単純にファッションやオシャレが好きなのであれば古着屋ではなく、セレクトショップやブランド等で働くべきです。
現段階で洋服やファッションについて詳しく無いからダメ!という訳でありません。古着屋では最低限の知識も持ち合わせた上で、知りたい!詳しくなりたい!という更なる向上心を持って洋服やファッションについて学んでいく姿勢が必要であるという事です。
古着屋の業務内容
古着屋の主な業務内容は、
- 店内環境整理(掃除、洋服の畳直し)
- 洗濯、スチーム(アイロン)がけ
- 接客
- EC業務(通販)
- 広報業務(SNS運用、メディア対応)
- 値付け業務
- 買い付け業務
アパレル経験にもよりますが、だいたいは1番からスタートします。実力を付けたり、経験を重たりするにつれて、次の番号の業務にステップアップすると思ってください。
1.店内環境整理(掃除、畳直し)
古着屋に関わらず店舗運営をする上ではとても大切な事です。バイトや仕事をした事がある人はなんとなく分かると思います。
古着は使用済みの洋服ですので、ほこりがとても立ちやすいです。必然的に床や棚や鏡などにほこりが溜まりやすいので、毎日掃除をする事はどこの古着屋でも共通だと思います。
アパレル業界では畳直しという特有の業務があります。お客さんが触った洋服を畳み直して陳列したり、ハンガーラックを等間隔にかけ直したりします。これは営業前か、営業後に一度店内全ての洋服をチェックして行います。
また、営業中でも畳み直しは常々行う(動的待機)ので覚えておきましょう。
2.洗濯、スチーム(アイロン)がけ
これは古着屋特有の業務です。
海外から入荷した商品は、綺麗な状態では無い事がほとんどです。臭いがキツかったり、汚れていたり、シワが寄っていたりする事がほとんどです。一度コインランドリーに持っていき全部洗濯する事が一般的です。その後シャツやTシャツなどシワが寄りやすい物はスチームがけをします。
入荷直後は、古着屋によっても一回で仕入れる量は変わりますが、大抵はパッキン(ダンボール)で少なくても5パッキンから多くて数十パッキンになるので相当な量を洗濯、スチームがけをします。体力勝負です。
主にここまでで1ヶ月から2ヶ月ほど行うと考えてください。
3.接客
1、2の業務ができるようになって、やっと接客のフェーズに入ります。
接客は奥がとても深い業務です。すべてを話したらとても長くなってしまうので簡単に説明します。
古着屋での接客は、上記でも軽く説明したように、合わせ方や、サイズ感、などのコーディネートの仕方よりも、古着その物について、どういったブランドなのか、何年代の物なのか、どのようなバックグラウンドがあるのかなど、古着のその物をメインとした物寄りの接客をする事が特徴的です。
最初のうちは、店頭に並んでいる物だけでもいいので、詳しく説明できるようにしておきましょう。分からなければ先輩スタッフや、オーナーなどに聞いて勉強しましょう。
全ての業務の中でも接客がメインになります。古着屋で働く上で1番重要な業務です。4以下の業務は接客が完璧に行う事ができた上で携わる事ができます。
4.EC業務(通販)
オンラインでの販売全てに関わる業務です。近年はコロナの影響によりオンラインでの販売は非常に重要視されています。
主には、写真撮影、レタッチ(写真の加工)、採寸などになります。
写真の撮り方やレタッチの仕方は古着屋によって全く違うので、教えてもらいながら進めます。撮影には一眼レフのカメラやスマートフォンを使ったり、レタッチにはパソコン(Photoshop等)、スマートフォンアプリを使ったりします。
古着屋によっては営業時間内に行う事もありますし、営業時間外で行う事もあります。もしくはEC業務専門のスタッフやシフトを採用しているパターンもあります。
5.広報業務(SNS運用、ブログ、メディア対応)
広報(PR)に関わる全ての業務を指します。
主にはSNSはInstagramをメインとして活用している古着屋が多いです。最近で、YouTubeやTikTokといったSNSを活用する古着屋さんもあります。写真や、動画を撮影し、投稿する業務です。
最近ではなかなか見かけなくなりましたが、ブログは5年前くらいまでは古着屋の主な広報ツールでした。昔ながらの古着屋では今でもブログを書いていたりします。ブログでは詳しい商品知識と文章力が求められます。
メディア対応では、主に雑誌やWEBになります。古着屋特集だったり、スタッフのスタイリング特集等、様々な内容の企画があります。雑誌の編集者やカメラマンとのやり取りをメールや電話で対応します。また、テレビやCM等の衣装貸し出し(リース)の対応もします。主にスタイリストとやりとりをします。
6.値付け業務
値付け業務はオーナーやベテランスタッフが行います。
商品の価値、希少性、相場等を考慮して値段を付けます。古着を詳しく知らないと値段を付けることができないので、誰でもすぐに行える業務ではありません。
また、古着の価格変動はとても目まぐるしく、1年で数万値上がりするなんて事もザラです。他の古着屋にリサーチをしに行ったり、オークションサイトをチェックしたりする事が大切です。
7.買い付け業務
主には、こちらもオーナーやベテランスタッフが行う業務です。
古着屋によって売れるアイテムは全く違います。オーナーや社長の趣味嗜好も違うので、働いている古着屋をとてもよく理解していないと買い付け業務に携わる事はできません。
もちろん、古着を相当詳しくないと買い付けはできません。1日に数万着の古着見て買い付けを行うので、古着に詳しくなる、古着を見る力を付ける事が大切です。古着屋によってはバイヤーという買い付け専門の人がいる場合もあります。
どれだけ古着に詳しくなっても、働いている年数が長くても古着屋の方針次第で、買い付けはオーナーだけという古着屋も多く存在します。買い付け業務がしたい場合は、事前に買い付け業務にも携われるか確認しておく事が必要です。
古着屋で働いたら誰でも買い付け業務ができる訳では無いという事は覚えておきましょう。
最後に
いかがでしたか?
古着屋で働くという事について理解できましたか?
かなり厳しめの内容になりましたが、実際かなり厳しい世界です。生半可な気持ちで働いている人などいません。みんな大袈裟で無く古着に命をかけて向き合っています。
本気で向き合って働いている分やりがいがとても多いです。自分が働いている古着屋に共感してもらえた時、心から良いと思っている商品が売れた時、お客さんとの距離が近い分自分を目掛けて来店してもらえた時など、嬉しい事も沢山あります。
大変な事も多いですが、古着好きにはとても楽しくてやりがいのある仕事です。好きこそものの上手なれという言葉があるように、好きな事を仕事にして一流になるという事は人生においてとても価値が高いですし、誰にでもできる事ではありません。興味がある人は是非チャレンジしてみてください!
この記事が古着屋で働きたい人にとって参考になれば幸いです。
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